筋トレの順序について

トレーニング指導中に必ずされる質問があります。

「このメニューの順番でやらないといけませんか?」
「順番を変えて行っても大丈夫ですか?」

使いたいマシンを誰かが使っているとき待っているのは誰でも嫌ですね。出来るだけ移動の少ない順番で器具やマシンを使いたいと考えるのは当然でしょう。
そこで、今回はトレーニングの順序について書こうと思います。


1. トレーニングメニュー基本の順序
一般的に筋トレは大きい筋肉から鍛えるのが基本です。大きい筋肉とは脚、胸、背中です。
この3部位を鍛える種目は必須です。大きい筋肉を鍛えずに腕や肩など小さな筋肉だけ鍛えても変化は少なく、体型や体質改善に思ったような効果は期待できません。
中でも最も重量が扱えるお勧め種目が胸ならベンチプレス、脚ならスクワット、背中ならデッドリフトです。この3種目はパワーリフティング競技の正式種目でもあります。訓練すれば高重量が扱えるようになり、筋肉も大幅に発達します。
また、この3種目のフォームが安全、正確にできるようになれば、トレーニングの基本が身に付きますから、他の種目も自然と上手くできるようになります。
一般的なトレーニングプログラムは大きい筋肉を先に鍛えるような順序になっています。フリーウエイトの無いスポーツクラブなどでは、脚、胸、背中を鍛えるマシンを先に選んで行うと良いでしょう。
また、同じ部位を続けて鍛えるようにすることでトレーニング強度が高まります。胸の種目、脚の種目、背中の種目、再び胸の種目などとバラバラに鍛えるより、胸なら胸の種目を続けてから違う部位に移るほうが、トレーニング強度は高くなります。


2.初心者の場合
トレーニングメニューの順番を変えて良いかどうかという疑問を抱くのは初心者が一番多いのではないでしょうか。順序を変えると効果が落ちないだろうか、順序を間違えると体を痛めることがないだろうかとか、あれこれ気にする人もいるかもしれません。運動経験のない人であれば、できるだけ教えられた順序で行うのが無難です。しかし、順序を間違えたり変えたりしても特に問題はありません。初心者はまず動きになれることが先決ですから、順序を考えるより、軽い負荷でとにかく運動すること、正しいフォームを身につけることが大切です。最初から重量を増やして頑張ると姿勢が崩れて、逆に関節等に負担がかかり、痛める可能性もあるので注意が必要です。必ずしも与えられたメニュー通りに行わなくても大丈夫ですので、左右対称に動いているか重心がずれていないかを意識しながらゆっくりと筋肉を動かすことから始めてください。
そしてある程度慣れてきたら、基本通り大きい筋肉から鍛えていき、セット数や使用重量を伸ばしていきましょう。


2. 中級者の場合
週2回以上のトレーニングを半年以上も続ければ、この種目はこの部位に効果があると実感できるようになってきていると思います。トレーニングの楽しさを分かりかけてきたならしめたものですが、与えられたメニューに飽きてきて、他の細かい種目にいろいろ手を出したく人もいるようです。決して悪いことではありませんが、私の経験では、ある程度高重量が使えるようになるまで同じ種目をセット数を増やしながら行う方が筋肉は発達します。決まった種目をコツコツ続けることで良い結果が得られます。初心者の時の様な使用重量の伸びはありませんが、見えないところで自分の筋肉は成長を続けています。基本を思いだして、同じ種目でどれだけ記録が伸ばせるかコツコツ挑戦していきましょう。自分の行っているトレーニング種目がどこの筋肉にどれだけ効いているかわかるようになっていれば大丈夫です。週4日以上トレーニングできる人は、種目を上半身、下半身の2つ、または胸、背中、脚の3つに分けて、種目の順序は変えずにセット数を増やして強度を高めていきましょう。また腕や肩など小さな筋肉を鍛える種目を追加してみましょう。


3. 上級者の場合
長年続けていて、挙上重量もこれ以上なかなか伸びなくなってきたというトレーニング上級者は、すでに自分で工夫しながら種目を変えたり、順序を変えていると思います。自分でトレーニングメニューを考える楽しみも覚えた人にアドバイスすることはありませんが、壁にぶち当たった時は、基本に戻ってみると意外と道が開けることがあります。また、高重量を使い続けていると、筋肉や関節などの痛みが治らなくなり、それでも使用重量を落としたくなくて無理して続けている人もいるのではないでしょうか。そんな時には思い切って1週間から1カ月ほど休んでみるのも悪くはありません。上級者の場合は筋肉への刺激は十分ですから、いかにうまく筋肉や関節を休ませるかがポイントになります。また、分割したメニューを順番にこなしていて思うような効果が得られなくなってきたら、自分の一番良くしたい部位のトレーニングを休み明けに持ってきたり、頻度を上げたりしてえこひいきする筋肉を作るのも得策です。

効果を出すためのトレーニング順序に間違いはありません。経験を積み重ねることによって、より自分に合ったメニューと順序、頻度を選択していきましょう。

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